What Is America’s Strategic Interest In Ukraine?
最終更新：
nobunobu999 2023年02月26日(日) 10:36:11履歴
What Is America’s Strategic Interest In Ukraine?
David P. Goldman Friday, February 3, 2023
ウクライナ戦争は12ヶ月目に入り、軍事的状況は依然として膠着状態だが、政治的にはロシアに有利な膠着状態だ。ロシアが2022年9月30日に併合したルハンスク、ドネツク、ザポリジヤ、ケルソンの各州の領土の大半を保持できれば、"特別軍事作戦 "の成功を主張できる。分断国家になったウクライナには、かろうじて1000億ドルのGDPに1兆ドルの復興費用、おそらく2500万人の住民と1000万人の国民が難民として海外で生活し、暗い未来が残されることになるだろう。
米国はどのような戦略的利益のためにウクライナで行動してきたのか？ウクライナのNATO加盟はアメリカのレゾンデートルなのか？アメリカの戦略家たちは、制裁でロシア経済が停止すると本当に信じていたのか？アジア大陸の貿易パターンが制裁を回避する流れになると想像していたのか。アメリカの備蓄を使い果たすような長い戦争に必要な資材を考慮したのか。核兵器の使用を誘発するようなトリップワイヤーを考慮したのか。それとも1914年にヨーロッパ諸国が行ったように、夢遊病者のように紛争に突入したのか？
（トリップワイヤーはうまく訳せなかったのでそのまま）
なぜロシアは侵攻したのか？もし西側諸国とゼレンスキー政権がミンスク�兇鯣�効させ、ウクライナにロシア語圏の自治を認めていたら、ロシアはウクライナに侵攻したのか？反実仮想史は本来証明不可能だがそう信じるに足る理由がある。ソ連邦の崩壊で祖国から切り離されたロシア人の権利を守ることは、ロシアのレゾンデートルだ。2月24日の侵攻前にドンバスで起きたウクライナ人民族主義者と親ロシア派分離主義者の戦闘で1万4千人以上の死傷者を出した以上、ロシアの懸念が杞憂だったとは言い切れないだろう。
2008年、ロシアはグルジアに介入し、オセチア人、アクバズ人、ベラルーシ人、ウクライナ人など、ロシアのパスポートを持つ者は誰でもロシア人であるという原則を維持した。ロシアの存続は、出生率でもなく、移民でもなく、併合の可能性でもなく、そもそもロシアが建設された原理の存続に掛かっている。だからこそ、プーチンはコーカサスのロシア旅券保持者がいる孤立地帯を見捨てることができなかった。
キッシンジャーやウィリアム・バーンズ元駐ロシア大使など、アメリカの外交官の世代は、NATOのウクライナへの拡大はロシアにとってトリップワイヤーだと警告していた。2022年2月にシュピーゲル誌が公開したドイツの文書では、西側諸国が1990年にロシアにNATOの拡大に対する保証書を渡していたことが確認されている。しかし、1998年の債務不履行の後、ロシアは屈服し、NATOにこの保証を無視することを許した。クリントン政権下で、NATOの使命は、漠然とした人権と社会福祉のアジェンダに変わった。NATOは、1999年にポーランド、ハンガリー、チェコ共和国を、2004年には旧ソ連圏の7カ国を追加した。一方、ドイツ連邦軍は、1990年に12個師団あった戦闘態勢と重武装を備えた部隊から、装備の不十分な5個師団に縮小された。NATOは加盟国を増やすとともに、軍事機能を低下させたのである。
ウクライナは別問題である。ロシアは、NATOへの加盟を存亡の危機と捉えている。プーチンは2月23日の侵攻前夜にこう述べた。
米国が進めるグローバルなミサイル防衛システムの構築の一環として、ルーマニアとポーランドに迎撃ミサイルの配備エリアが設置されている。そこに配備されている発射台が、トマホーク巡航ミサイル（攻撃型ミサイル）用であることは周知の事実である。
さらに米国は、防空・ミサイル防衛と地上・地上の目標への攻撃が可能な汎用型ミサイル「スタンダード・ミサイル6」を開発中である。つまり、防御的と言われる米国のミサイル防衛システムは、新たな攻撃的能力を開発し、拡大しつつある。
私たちが得た情報は、ウクライナのNATO加盟とそれに伴うNATO施設の配備はすでに決定されており、時間の問題であると考える十分な根拠を与えている。このシナリオが実現すれば、ロシアに対する軍事的脅威のレベルは数倍にも飛躍的に高まることを、私たちは明確に理解している。そして、この時点で強調したいのは、我が国への突発的な攻撃の危険性が倍増することである。
2021年10月、ロシアは初の潜水艦発射型超音速ミサイルの実験を行い、モスクワ周辺に初の防空システムS-500を配備した。もしプーチンが信じているように、アメリカの戦略家が核兵器の応酬を有利に進めようとしていないのであれば、なぜミンスクIIとウクライナの中立の原則を放棄したのだろうか。ロシアにおける政権交代は、バイデン政権の一部の高官にとって10年来の課題であった。国務省東欧デスクの責任者であるビクトリア・ヌーランド国務次官が、2014年5月6日に議会の委員会で語ったように。"1992年以来、我々はロシアに200億ドルを提供し、その国民が値する平和で豊かな民主国家への移行の追求を支援してきました。"
モスクワが見たのは、力による平和を追求した1983年のアメリカではなく、弱さからの挑発であった。わずか12万人の兵力で侵攻したのは誤算だった。2月24日以前は政権交代が目的でなかったとすれば、その後、それは明白になった。3月26日、バイデン大統領は、プーチンが「権力の座にとどまることはできない」と宣言し、アメリカの目標を政権交代と定義した。これは重大な誤算であった。ロシアのエリートは、政権が倒れれば自分たちの特権や地位が消滅することを自覚して政権の背後に結集し、ロシア国民はストイックにその命令に従ったのである。12月の世論調査では、政権支持率は過去最高の81％に迫る勢いだ。
経済制裁によってロシアの経済生産高が半減するという以前のアメリカの主張とは裏腹に、2022年のロシアのGDPは4％しか縮小していない。ロシアの対中輸出は2021年の860億ドルから2022年には1900億ドルに増加し、対インド輸出は2021年の130億ドルから2022年には270億ドルに倍増したと伝えられているが、おそらく本当の合計はもっと多いだろう。ロシアの肥料収入は、数量が10%減少したにもかかわらず、2022年には2021年比で70%増加した。中国とインドの製品は、ロシアの消費者にわずかな不便を与えるだけで、多くの西洋の品目に取って代わった。トルコ、アルメニア、グルジアなどロシア周辺国がロシアへの輸出を増やし、米国の制裁を事実上回避している。1ドル＝約69ルーブルと、ロシアの通貨は1年前より高く取引されている。ユーラシア大陸では、エネルギーを中心とした新たな貿易関係が生まれ、中国の影響力を強めている。
西側諸国がロシアに対して、将来的な物資の供給で優位に立てるかどうかは不明である。エストニアの推定では、ロシアは1日に9,000発の砲弾を生産できるのに対し、米国は現在、1カ月に15,000発の砲弾を生産している。2023 年 1 月 9 日の CSIS による評価では、ウクライナに精密弾薬を提供する米国の能力は制約される。一方、ロシアは動員人員を大幅に増やし、地対空連携を強化し、SU-35とSU-57戦闘機を追加配備し、最新鋭のT90戦車を相当数戦線に送り込んでいる。
西側諸国はおそらく、ロシアをウクライナから追い出すための軍事的能力を有していない。確かに、米国のアナリストの中には、ウクライナへの軍事援助は安価なオプションと考える人もいる。ハドソン研究所のレベッカ・ハインリックスは2023年1月12日、米国は「特定の兵器システムを使い果たす」リスクがあるとツイートしている。しかし、それらの兵器は、我々のナンバーワンの敵対国に協力するトップレベルの敵対国の兵器を破壊するものでもある。無駄ではありません。"つまり、米国はロシアの能力を低下させるという目的のために、勝ち目のない消耗戦でウクライナを犠牲にするかもしれないのだ。米軍のアナリストは、勝利の鍵として次々とヴンダーヴァッフェを売り込んできた。ジャベリン対戦車ミサイル、スイッチブレード無人偵察機、HIMARSなどだ。しかし、仮に米国がエイブラムス戦車やF16をウクライナに供与したとしても、これらのシステムは配備までに何カ月もの訓練が必要だ。一方、ロシアは侵攻当初の約2倍の戦力を動員し、地上でのパフォーマンスを向上させることに成功した。
準備不足のまま戦争に突入し、その後制裁でロシア経済を潰せなかった米国は、ジレンマに直面している。停戦が実現すれば、南北分断のような休戦でも、ロシアはウクライナ領土の併合に成功したと主張することができるだろう。しかし、戦争を続ければ、ロシア軍はウクライナ軍に犠牲を出し続け、ロシアの兵器はウクライナのインフラを劣化させるので、結局はウクライナを機能不全に陥らせることになる。米国はロシア奥地を攻撃する兵器を配備し、米軍を投入することも可能だが、ロシアとの核戦争のリスクがあることはバイデン政権も認識しているようである。
今後数カ月の間にウクライナ側、ロシア側のいずれかが決定的な攻撃を行わない限り、消耗戦が続くことになる。欧米の兵器がウクライナに決定的な優位性を与えることはないだろう。ウクライナの約5倍の人口を抱えるロシアは、消耗戦の勝者となる可能性が高い。
最も可能性が高いのは、屈辱的な休戦である。逆説的だが、それは米国の長期的な利益となるかもしれない。北ベトナムは、ソ連に先んじた屈辱的な行為によって、米国に恩恵をもたらした。それは、1950年代後半からアメリカの軍事プランナーが抱いていた限定戦争という幻想を破壊したのである。1975年のベトナムからの屈辱的な撤退は、1977年のハロルド・ブラウン国防長官の時代に始まり、レーガン政権に至るまで、アメリカの軍事戦略の根本的な見直しを可能にした。米国は、最新のアビオニクスと精密兵器を生み出す防衛技術革命を行い、1970年代初頭にロシアが通常兵器で享受していた優位性を逆転させた。ロシア軍は1982年のベッカー谷空戦と戦略的防衛構想の開始後、技術的にアメリカに追いつくことはできないと判断した。
民主主義を輸出するというユートピア的な幻想が、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、そして最終的にはウクライナに至るまで、前世代のアメリカの大失態の原動力となったのだ。冷戦に勝利した技術的優位性を取り戻すためには、ベトナム戦争並みの屈辱を味わう必要があるのだろう。
David P. Goldman Friday, February 3, 2023
ウクライナ戦争は12ヶ月目に入り、軍事的状況は依然として膠着状態だが、政治的にはロシアに有利な膠着状態だ。ロシアが2022年9月30日に併合したルハンスク、ドネツク、ザポリジヤ、ケルソンの各州の領土の大半を保持できれば、"特別軍事作戦 "の成功を主張できる。分断国家になったウクライナには、かろうじて1000億ドルのGDPに1兆ドルの復興費用、おそらく2500万人の住民と1000万人の国民が難民として海外で生活し、暗い未来が残されることになるだろう。
米国はどのような戦略的利益のためにウクライナで行動してきたのか？ウクライナのNATO加盟はアメリカのレゾンデートルなのか？アメリカの戦略家たちは、制裁でロシア経済が停止すると本当に信じていたのか？アジア大陸の貿易パターンが制裁を回避する流れになると想像していたのか。アメリカの備蓄を使い果たすような長い戦争に必要な資材を考慮したのか。核兵器の使用を誘発するようなトリップワイヤーを考慮したのか。それとも1914年にヨーロッパ諸国が行ったように、夢遊病者のように紛争に突入したのか？
（トリップワイヤーはうまく訳せなかったのでそのまま）
なぜロシアは侵攻したのか？もし西側諸国とゼレンスキー政権がミンスク�兇鯣�効させ、ウクライナにロシア語圏の自治を認めていたら、ロシアはウクライナに侵攻したのか？反実仮想史は本来証明不可能だがそう信じるに足る理由がある。ソ連邦の崩壊で祖国から切り離されたロシア人の権利を守ることは、ロシアのレゾンデートルだ。2月24日の侵攻前にドンバスで起きたウクライナ人民族主義者と親ロシア派分離主義者の戦闘で1万4千人以上の死傷者を出した以上、ロシアの懸念が杞憂だったとは言い切れないだろう。
2008年、ロシアはグルジアに介入し、オセチア人、アクバズ人、ベラルーシ人、ウクライナ人など、ロシアのパスポートを持つ者は誰でもロシア人であるという原則を維持した。ロシアの存続は、出生率でもなく、移民でもなく、併合の可能性でもなく、そもそもロシアが建設された原理の存続に掛かっている。だからこそ、プーチンはコーカサスのロシア旅券保持者がいる孤立地帯を見捨てることができなかった。
キッシンジャーやウィリアム・バーンズ元駐ロシア大使など、アメリカの外交官の世代は、NATOのウクライナへの拡大はロシアにとってトリップワイヤーだと警告していた。2022年2月にシュピーゲル誌が公開したドイツの文書では、西側諸国が1990年にロシアにNATOの拡大に対する保証書を渡していたことが確認されている。しかし、1998年の債務不履行の後、ロシアは屈服し、NATOにこの保証を無視することを許した。クリントン政権下で、NATOの使命は、漠然とした人権と社会福祉のアジェンダに変わった。NATOは、1999年にポーランド、ハンガリー、チェコ共和国を、2004年には旧ソ連圏の7カ国を追加した。一方、ドイツ連邦軍は、1990年に12個師団あった戦闘態勢と重武装を備えた部隊から、装備の不十分な5個師団に縮小された。NATOは加盟国を増やすとともに、軍事機能を低下させたのである。
ウクライナは別問題である。ロシアは、NATOへの加盟を存亡の危機と捉えている。プーチンは2月23日の侵攻前夜にこう述べた。
米国が進めるグローバルなミサイル防衛システムの構築の一環として、ルーマニアとポーランドに迎撃ミサイルの配備エリアが設置されている。そこに配備されている発射台が、トマホーク巡航ミサイル（攻撃型ミサイル）用であることは周知の事実である。
さらに米国は、防空・ミサイル防衛と地上・地上の目標への攻撃が可能な汎用型ミサイル「スタンダード・ミサイル6」を開発中である。つまり、防御的と言われる米国のミサイル防衛システムは、新たな攻撃的能力を開発し、拡大しつつある。
私たちが得た情報は、ウクライナのNATO加盟とそれに伴うNATO施設の配備はすでに決定されており、時間の問題であると考える十分な根拠を与えている。このシナリオが実現すれば、ロシアに対する軍事的脅威のレベルは数倍にも飛躍的に高まることを、私たちは明確に理解している。そして、この時点で強調したいのは、我が国への突発的な攻撃の危険性が倍増することである。
2021年10月、ロシアは初の潜水艦発射型超音速ミサイルの実験を行い、モスクワ周辺に初の防空システムS-500を配備した。もしプーチンが信じているように、アメリカの戦略家が核兵器の応酬を有利に進めようとしていないのであれば、なぜミンスクIIとウクライナの中立の原則を放棄したのだろうか。ロシアにおける政権交代は、バイデン政権の一部の高官にとって10年来の課題であった。国務省東欧デスクの責任者であるビクトリア・ヌーランド国務次官が、2014年5月6日に議会の委員会で語ったように。"1992年以来、我々はロシアに200億ドルを提供し、その国民が値する平和で豊かな民主国家への移行の追求を支援してきました。"
モスクワが見たのは、力による平和を追求した1983年のアメリカではなく、弱さからの挑発であった。わずか12万人の兵力で侵攻したのは誤算だった。2月24日以前は政権交代が目的でなかったとすれば、その後、それは明白になった。3月26日、バイデン大統領は、プーチンが「権力の座にとどまることはできない」と宣言し、アメリカの目標を政権交代と定義した。これは重大な誤算であった。ロシアのエリートは、政権が倒れれば自分たちの特権や地位が消滅することを自覚して政権の背後に結集し、ロシア国民はストイックにその命令に従ったのである。12月の世論調査では、政権支持率は過去最高の81％に迫る勢いだ。
経済制裁によってロシアの経済生産高が半減するという以前のアメリカの主張とは裏腹に、2022年のロシアのGDPは4％しか縮小していない。ロシアの対中輸出は2021年の860億ドルから2022年には1900億ドルに増加し、対インド輸出は2021年の130億ドルから2022年には270億ドルに倍増したと伝えられているが、おそらく本当の合計はもっと多いだろう。ロシアの肥料収入は、数量が10%減少したにもかかわらず、2022年には2021年比で70%増加した。中国とインドの製品は、ロシアの消費者にわずかな不便を与えるだけで、多くの西洋の品目に取って代わった。トルコ、アルメニア、グルジアなどロシア周辺国がロシアへの輸出を増やし、米国の制裁を事実上回避している。1ドル＝約69ルーブルと、ロシアの通貨は1年前より高く取引されている。ユーラシア大陸では、エネルギーを中心とした新たな貿易関係が生まれ、中国の影響力を強めている。
西側諸国がロシアに対して、将来的な物資の供給で優位に立てるかどうかは不明である。エストニアの推定では、ロシアは1日に9,000発の砲弾を生産できるのに対し、米国は現在、1カ月に15,000発の砲弾を生産している。2023 年 1 月 9 日の CSIS による評価では、ウクライナに精密弾薬を提供する米国の能力は制約される。一方、ロシアは動員人員を大幅に増やし、地対空連携を強化し、SU-35とSU-57戦闘機を追加配備し、最新鋭のT90戦車を相当数戦線に送り込んでいる。
西側諸国はおそらく、ロシアをウクライナから追い出すための軍事的能力を有していない。確かに、米国のアナリストの中には、ウクライナへの軍事援助は安価なオプションと考える人もいる。ハドソン研究所のレベッカ・ハインリックスは2023年1月12日、米国は「特定の兵器システムを使い果たす」リスクがあるとツイートしている。しかし、それらの兵器は、我々のナンバーワンの敵対国に協力するトップレベルの敵対国の兵器を破壊するものでもある。無駄ではありません。"つまり、米国はロシアの能力を低下させるという目的のために、勝ち目のない消耗戦でウクライナを犠牲にするかもしれないのだ。米軍のアナリストは、勝利の鍵として次々とヴンダーヴァッフェを売り込んできた。ジャベリン対戦車ミサイル、スイッチブレード無人偵察機、HIMARSなどだ。しかし、仮に米国がエイブラムス戦車やF16をウクライナに供与したとしても、これらのシステムは配備までに何カ月もの訓練が必要だ。一方、ロシアは侵攻当初の約2倍の戦力を動員し、地上でのパフォーマンスを向上させることに成功した。
準備不足のまま戦争に突入し、その後制裁でロシア経済を潰せなかった米国は、ジレンマに直面している。停戦が実現すれば、南北分断のような休戦でも、ロシアはウクライナ領土の併合に成功したと主張することができるだろう。しかし、戦争を続ければ、ロシア軍はウクライナ軍に犠牲を出し続け、ロシアの兵器はウクライナのインフラを劣化させるので、結局はウクライナを機能不全に陥らせることになる。米国はロシア奥地を攻撃する兵器を配備し、米軍を投入することも可能だが、ロシアとの核戦争のリスクがあることはバイデン政権も認識しているようである。
今後数カ月の間にウクライナ側、ロシア側のいずれかが決定的な攻撃を行わない限り、消耗戦が続くことになる。欧米の兵器がウクライナに決定的な優位性を与えることはないだろう。ウクライナの約5倍の人口を抱えるロシアは、消耗戦の勝者となる可能性が高い。
最も可能性が高いのは、屈辱的な休戦である。逆説的だが、それは米国の長期的な利益となるかもしれない。北ベトナムは、ソ連に先んじた屈辱的な行為によって、米国に恩恵をもたらした。それは、1950年代後半からアメリカの軍事プランナーが抱いていた限定戦争という幻想を破壊したのである。1975年のベトナムからの屈辱的な撤退は、1977年のハロルド・ブラウン国防長官の時代に始まり、レーガン政権に至るまで、アメリカの軍事戦略の根本的な見直しを可能にした。米国は、最新のアビオニクスと精密兵器を生み出す防衛技術革命を行い、1970年代初頭にロシアが通常兵器で享受していた優位性を逆転させた。ロシア軍は1982年のベッカー谷空戦と戦略的防衛構想の開始後、技術的にアメリカに追いつくことはできないと判断した。
民主主義を輸出するというユートピア的な幻想が、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、そして最終的にはウクライナに至るまで、前世代のアメリカの大失態の原動力となったのだ。冷戦に勝利した技術的優位性を取り戻すためには、ベトナム戦争並みの屈辱を味わう必要があるのだろう。
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