反証主義の問題点と反証主義の使い方

・反証主義は境界設定問題(経験科学と非経験科学を区別する線引き問題)には向かない
・ここでは3点を挙げる

1.ユルすぎ問題
 「私の星占いによると10日後に富士山大噴火が起きる」という主張は明快であり反証可能性がある。
   →常識的に考えて非科学でも、明快な場合は反証可能性を満たして科学になってしまう。
2.キツすぎ問題
 「NATO東方拡大がロシアを強く刺激し、ウクライナ戦争の要因の一つだ」
   →ロシア高官やプーチンがそう語ったとしても、それは建前だなどと言われてしまう。
    ロシア側の信頼できる政府文書が流出するなどなければ反証可能性を満たさない。
    「NATO拡大説への批判」「NATO拡大説への支持」両方が反証可能性を満たさず非科学となる。
3.キツすぎ問題2 成功したアドホック棄却問題
 「反証された後に、補助仮説などで言い訳するのはダメ」
   →反証後にアドホックな仮説を立て、その仮説が正しかった例は科学史に多い。
    1.天王星の軌道がニュートン力学から考えておかしい
    2.ニュートン力学が反証されたとは考えない
    3.未知の惑星が天王星に影響と予測
    4.海王星を発見
   →ポパーの基準では2でニュートン力学が棄却されるべきとなるので問題がある

反証主義をどう使うか
・基本的に科学/非科学の境界設定問題には使わない
・自分の主張の修正/棄却の条件を考える時に使う
・他人の主張の修正/棄却の基準を考える時に使う
・反証可能性を満たしている主張(非科学含め)          
  十分に検証可能→「強い仮説」として扱う
・反証可能性を満たしていない主張(検証が難しい真面目な主張含め)
  十分な検証不能→「弱い仮説」として扱う  
 (NATO拡大論の議論は賛成/反対の両方とも反証が難しい推論であり「弱い仮説」)

参考
・伊勢田哲治「境界設定問題はどのように概念化されるべきか」
・伊勢田哲治「疑似科学と科学の哲学」

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